今月の額、上村松園「待月」。
ブログ 2018年5月20日
岡崎市の呉服屋、呉服のいちこし。
着物を着て綺麗になり、ほめられて自然と笑顔になる、
人作りアドバイザーの山脇寿人です。ご訪問ありがとうございます。
本日は、今月の額、上村松園「待月」。です。
上村 松園は、日本画家で本名は上村 津禰、常子と名乗っていたこともある様です。
明治の京都下京に生まれ育ち、女性の目を通して「美人画」を描きました。
1948年女性として初めて文化勲章を受章。 子の上村松篁、孫の上村淳之と三代続く日本画家です。
そんな松園ですが、明治の世では「女は嫁に行き家を守ることが最上の美徳」とされており、
教育を受けたり絵を習うということは中傷の対象でしたので、
親戚や周囲にはそういう生き方を非難する声も多かったようです。
毎日、早朝より絵の勉強に熱心だった彼女の絵筆の腕はますます冴え、
各地の展覧会・博覧会で作品が非常に高く評価されます。
飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍する松園のことを、男性画家たちは「女のくせに」と
ライバル心むき出しの激しい嫉妬と憎しみを受けます。
それは晩年に松園が「戦場の軍人と同じ血みどろな戦いでした」と記すほどで、
保守的な日本画壇は女性の進出を嫌いましたが、松園は絵筆を握り続けました。
画像は、「待月」と名付けられた松園が69歳の時の円熟期の作品です。
欄干に寄りかかる若妻を簡潔な構図でまとめ、しかも日本画独特の余白、
つまり空間の持つ奥深さと妙味を存分に発揮している。と言われています。
また、若妻が着ている薄物の一つ紋付きものから長襦袢が透けている所と
覗いている所の筆質が絶妙で気品ある女性像を理想とする松園芸術の昭和期の傑作です。