繭を作る蚕のいろいろ!その2「天蚕」編。
ご紹介 2021年5月22日
お借りしました。
Vol.1564
本日は、「繭を作る蚕のいろいろ!その2「天蚕」編。」です。
岡崎市の呉服屋、呉服のいちこし。
和服の貴女が「褒められる」最適品を
お勧めいたします!
貴女の和装のお助けマン、 山脇寿人です。
ご訪問ありがとうございます。
昨日の続き、蚕の殆どが「家蚕」
つまり人が育てて繭が出来たら
そこから繊維を採ります。
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「家蚕」は、いわゆる家畜化
された蚕で、繊維を安定的に
効率よく採る為に品種改良され
白い繭を作ります。
また、糸の太さを均一に保つ為に、
口の形を一定にする必要があり
桑の葉のみを与えます。
これに対して「野蚕」と言われる
のは、野生の蚕から出来た繭の事。
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この繭を作る野生の蚕は
幾種類もありますが、今回は
「天蚕」(てんさん)のご説明。
で、現在では「野蚕」でも人が
自然に近い環境で飼育し、繭を
確保しています。
「天蚕糸」は、「繊維のダイアモンド」
「繊維の女王」と言われるほどで
時に通常糸の70倍の高値を付ける
高級糸です。
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その特徴は、綺麗な黄緑色で
しなやかでシワになり難くのです。
野生の虫を飼育するのは
簡単な様に思われますが
これが「家蚕」よりも手が
掛かります。
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まず、「天蚕」は病気に弱く
かかると全滅の恐れもありますし
ネットを掛けてで鳥や蜂、猿からも
守ります。
そして厄介なのが、天敵「蟻」。
蟻がクヌギの木を登るのを
防ぐのに蟻の巣を全て駆除します。
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手間ひま掛けた卵が孵化するのが
5月頃、その後4回の脱皮を
繰り返し7月前半に繭を作ります。
その間に好物のクヌギの葉を
むしゃむしゃ食べまくります。
その後、出来た繭から繊維を
採りますが、「家蚕」の繭が
14~1500mの繊維が採れるに
対して「天蚕」は半分の6∼700m。
1反の着物地を織り上げるのに
通常の繭が約3,000個必要と
言われています。
天蚕糸で換算すると約6,000個
必要となります。
で、70倍の価格の高級糸なので
出来上がる反物は、通常の
約140倍となる計算になります。
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ですので、一般的に「天蚕糸」を
使う場合は、柄の所だけとか
柄の一部に使う事となります。
「天蚕糸」は、黄緑色掛かって
いますので、同じ色で染めても
その部分だけ染め上がりが違い
何ともいい雰囲気となるのです。
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で、30年ほど前に唯の1度だけこの
「天蚕糸」のみで織上がった、
「白生地」(と言っても薄い黄緑色でした)
を見た事があります。
その当時でも4~500万円していた
様に記憶しています。
さすがに「繊維のダイヤモンド」
あの美しさは、忘れません。
本日もお読みいただき
誠にありがとうございます。